ウォーターニュートラルへの道

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アジト・グラブチャンド
(AJIT GULABCHAND)
ヒンドゥスタン建設取締役会長

企業の継続性と水資源の効率的な利用には相関関係がある、そのことをわが社はずっと以前から認識してきました。

我々は、2つのタイプの不足が引き起こす事業リスクへの懸念から、水を重視するようになったのです。

その不足とは、需要を満たすのに十分な水がないという物質的不足と、必要な水を利用するためのインフラと財政的能力、あるいはそのいずれかがコミュニティに備わっていないという経済的不足です。

これらの既存の問題に気候変動が新たな局面を加え、とりわけインドのすでに水の入手が困難で、貧困層が最も深刻な打撃を受ける地域では、この2種類の水不足がいずれも悪化する可能性があります。

我々、ヒンドゥスタン建設(HCC)は、インフラ開発はいつどこで行われようと、コミュニティと環境に影響を及ぼす可能性があるということを認識しています。

我々は環境管理システムによって、当社の中核事業に多様な持続可能性対策を取り入れてきました。

これにより、単に次世代の活動を刷新するのではなく、応用することも目指しており、同時にインド最大級のインフラ計画の一部を実施しています。

わが社は、インドの企業では初めて、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の「CEOウォーター・マンデート」に署名しました。

わが社は、水資源管理の改善のための徹底した全社的な枠組みを採用することで、建設プロジェクトの現場における水の利用を37%も削減することに成功しました。

通常、2年から6年かけて作業を行う建設現場での水介入と、長期的なBOT(建設、運営、譲渡)プロジェクトに関しては、“4R(リデュース、リユース、リサイクル、リチャージ)”のアプローチをとっています。

我々は、地域別戦略を通じてウォーターニュートラルを達成するという総合的目標を設け、わが社の水資源管理対策の実施に責任を持つ専門チームにより、水保全介入策を確認・遂行しています。

また、ムンバイの本社では、水資源の専門家と実務担当者が“ウォーター・チャンピオン”と協力しています。

ウォーター・チャンピオンは、水の影響の評価、実行可能な水介入に関する技術・社会・コスト面の分析、実施すべき対策の承認、進捗状況の監視・評価を行うため、建設現場ごとに指名されているものです。

また、地元の市民社会団体と連携して、地域社会から基礎データ、情報、見解を収集するため、意見聴取を行うこともあります。

デリー・ファリダバード高架高速道路と、わが社のウォーターニュートラルへの取り組みに注目したUNEPとUNGCの最近の報告書『Business & Climate Change Adaptation: Toward Resilient Companies & Communities (=ビジネスと気候変動適応:回復力のある企業とコミュニティを目指して)』で特集されているヴィシャーカパトナムの“戦略石油備蓄地下洞窟プロジェクト”は、わが社が水資源管理の公約を実行に移してきた過程を例示するものです。

この2件のプロジェクトで講じられた水保全策は、わが社による「CEOウォーター・マンデート」の実施と水資源管理への取り組みが重要であることを実証しています。

雨水を管理し、建設中に使用する量よりも多くの水を節約することで、プロジェクトのウォーターニュートラルという目標を超えようとするわが社にとって、デリー・ファリダバード高架高速道路沿いで行われている雨水収集が役立っています。

さらには、周辺地域のコミュニティへの長期的な水の安定供給にも大きく貢献しているのです。

この革新的な対策の定量的影響度は、雨水収集施設に設置された流量計で測定されています。

我々は、インド全域の他の道路や高速道路のインフラ計画にも応用できる可能性が高く、とりわけ水不足に悩む地域における気候変動適応策を促進できると考えています。

そして、政府がこの種の水介入を入札の必要条件として組み込むことを希望しています。

そうすれば、気候回復力と競争力の獲得を目指す企業に公平な競争の場が与えられるのです。

ヴィシャーカパトナムの地下洞窟プロジェクトで浮遊物質の除去処理施設を設置しているのは規制遵守の問題ですが、我々も同様に、特別に設計された排水処理施設から作業に必要な水を独自に作り出しています。

廃水処理技術を応用することにより、わが社は外部の水源への依存を減らし、水利用と作業の継続を確保し、効率的な廃水処理の問題に取り組むことができただけでなく、コスト削減も実現しました。

さらには、コミュニティに存在する乏しい淡水源にプロジェクトが及ぼす可能性のある悪影響も大幅に削減したのです。

政府の政策にも影響を与えています。

わが社の経験をもとに、こうしたプロジェクトの契約発注を行う政府機関のインド戦略石油備蓄会社が、水の処理施設とリサイクル施設の設置を今後のすべての入札の必要条件としました。

インド国内外のわが社のプロジェクト現場で実施されているその他の水介入策については、2009年、2010年、 2011年の報告書『Communications on Progress』に詳細が掲載されています。

水をめぐる問題は極めて分野横断的であり、環境、社会、開発、そして政治に影響を及ぼすものです。

我々は、信頼性のあるインフラ開発に向けた取り組みの一環として、水効率の良い、最終的にはウォーターニュートラルな企業となる能力を高めるための活動を続けていくでしょう。

そして、あらゆるレベルの公共政策と集団行動に貢献するだけでなく、流域開発や水資源管理に関するわが社のサプライチェーンおよびバリューチェーンにも働きかけていくつもりです。

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出典:Our Planet 2013 Vol.1(通巻30号)