タンザニアでの地図作成

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タンザニアの森林は、山々では常緑樹が茂り、平野では落葉樹が葉を落としていて、1万を超える植物種を含む豊かな生物多様性を有している。

国内の森林地帯のバイオマスの半分は保護区にあり、残りの半分は人間の活動による実質的な劣化にさらされている。

実際に1990 年以降、タンザニアはその森林の5分の1近く、8万平方キロメートルを失っている。

森林の減少・劣化は、森林の再生による炭素貯留を考慮すれば、世界全体の温室効果ガス排出量の10%ほどの原因となっている。

気候変動による影響を耐え得る範囲内に抑えるには、世界の平均気温を現在と比べて摂氏2 度以内に保つ必要がある。これは、森林の減少・劣化を減らさない限り、実質的に不可能である。

その目標に至るため、「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減(REDD+)」イニシアティブが気候変動条約のもとに発足し、森林に貯留される炭素に価格を付けることで、途上国が森林の減少・劣化による排出を削減し、そのかわりに森林炭素貯留の保全・回復、また持続可能な管理をするためのインセ ンティブを与えようと努めている。

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途上国はREDD+の活動によって、それ以上の結果、すなわち地球規模での気候変動の緩和だけでなく、森林保護から環境と社会両方の利益も得ようとしている。

REDD+の中心的な価値は森林の炭素を保護することだが、そのうえで水調節、文化的恩恵の提供、そして食料生産といった生態系の財とサービスの保護・促進についても検討している。

タンザニア政府はREDD+戦略・行動計画を2013 年に承認した。

REDD+草案では、REDD+活動は、自然の森林が保護され、森林に依存しているコミュニティの必要性が考慮されるよう、生物多様性とその他の生態系サービスを維持し、促進しなければならないと規定している。

現場で考えると、自生している森林から森林植生やアグロフォレストリーへの転換を避け、どの森林を保全・保護すべきかを検討する時、炭素貯留のみが検討されるわけではないということである。

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これは、森林保全と森林地域の保護をどこで行うべきかという疑問を生む。

REDD+が求めるいくつもの利益を最も提供できるのはどの森林なのだろうか?

REDD+を気候変動の緩和のために実行に移し、グリーン経済に向けて取り組むうえで、その特定は極めて重要な一歩なのである。

タンザニアにおける特定を支援するため、国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)は「UN-REDDプログラム」を通じて、タンザニア森林サービスやその他のパートナーと協力し、炭素貯留、生物多様性の供給、土壌保護といった国内の森林関連の多くの利益について、空間分析とマッピングに着手した。

この協力により、タンザニアの森林の生物学的、社会的、経済的利益の空間関係を示す20以上の地図が作成された。

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土地被覆図(タンザニア政府が作成、途上国による国内の森林調査としては過去最大の取り組みのひとつ)に基づき、本プロジェクトでは、国内全域の一連の地図を5平方キロ メートルの解像度で作成し、以下も組み合わせて網羅している。

  • 地上の炭素バイオマス
  • 自然林地域
  •  絶滅の危機にある樹種
  • 森林被覆と地上の炭素バイオマスに関連 する野生生物回廊
  • 土壌浸食への森林の寄与
  • 人口密度
  • 木炭製造地
  • 土壌有機炭素
  • 樹種の豊かさ
  • 地上バイオマスに関連する動物種
  • 非木材林産品
  • 炭素貯留と森林に関連する保護区
  • ガスと石油の探査場

これらの地 図を組み合わせることで、 REDD+活動の実行可能な場所が特定され た。

これはタンザニアでREDD+の実施を可能にするために不可欠なステップである。

次のステップは、ステークホルダーがこの情報を用いてREDD+活動を策定し、気候変動の緩和 に貢献しつつ、同時に生物多様性といった他の森林の価値も保護することである。

UN-REDDプログラムは、国連食糧農業機関(FAO)、国連開発計画(UNDP)、そしてUNEPの技術的専門知識や招集した専門家の助言を基盤に、アフリカ、アジア太平洋、ラテンアメリカの56のパートナー国における国 内のREDD+の準備を支援している。 

 

 

Our Planet 2015 Vol.1(通巻38号)