悲劇をチャンスに:アフリカの鉛への挑戦

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世界の水銀を規制する水俣条約が、8月16日発効しました。
しかし、人々の健康を脅威にさらす重金属は水銀だけではありません。特に鉛の健康被害は重篤です。
以下は、アフリカにおける鉛汚染の現状です。

世界は2008年、セネガルのThiaroye-sur-Merで、罪もない子供が18名も死んだことを決して忘れてはなりません。この悲劇をもたらした原因は、廃棄された車のバッテリーからリサイクルとして抽出される鉛による中毒でした。
現在アフリカで、鉛酸バッテリーは、自動車から電気システムをバックアップする通信機器に至るまで、幅広く使用されています。 鉛はその信頼性、低コスト、良好な稼動寿命のために、充電式バッテリーの主役であると考えられているのです。

しかし、これらのバッテリーが寿命に達した後、その鉛を不適切なやり方で再処理すると、人の健康と環境に重大な影響をもたらすことになります。

研究では、子供の血液中の鉛濃度が高くなると、IQや集中力の低下、難聴、活発過剰の原因となることが判明しています。そればかりではなく、野生動物の生態系を破壊し、土壌、水、大気を汚染します。

そのため、使用済みバッテリーの鉛はアフリカでは大きな問題となっています。これはセネガルだけでなく、多くのアフリカ諸国が緊急に対処しなければならない課題です。アフリカでは、ほとんどの国に適切なリサイクル施設がなく、無免許でバッテリーが扱われ、違法なリサイクルが横行しています。

最近の調査では、 人の健康に重大な影響をもたらす違法な処理場は10,599~29,241カ所と推定され、 90カ国の調査によると、違法な鉛酸バッテリー処理現場では、2013年だけで1,680万人もの人々の健康を危機にさらしています。

この問題の解決のために、このたびUNEP本部は、ブルキナファソ(西アフリカの国家)の環境省と共同で、アフリカ10カ国の代表をウガドゥグーに招聘し、7月19日から21日にかけ、使用済み鉛酸バッテリー(ULAB)の環境、健康、社会経済的影響について話し合う会議を開催しました。各国はまた、健全なULABリサイクルに取り組むための地域的および国家的戦略についても意見交換をしました。

ULABの環境に安全なリサイクルプラントを確立するためには、大きな投資が必要です。同時に、その工場が経済的に成り立つには大量のバッテリーを必要としますが、UNEPのAbdourahmane Bary氏は、「これらの問題が各国の安全なバッテリーリサイクルの障害となってはならない」と、述べています。

違法なリサイクル施設には、基本的な安全を維持するインフラが無く、従業員はしばしば重大な健康リスクにさらされる環境で働きます。彼らには唯一の収入源となる仕事現場で、さまざまな金属を鉛で溶かし、自らの健康を顧みることさえできず、ある施設の給与は、一日2ドル68セントにすぎません。

しかしアフリカ諸国は、今回の会議をきっかけに、深刻な鉛汚染に立ち向かい、過去の悲劇をチャンスに変えようとしています。
このアフリカの鉛汚染の問題は、2017年12月4日から6日にかけてケニアのナイロビで開催される、環境に関する世界最高レベルの意思決定機関である国連環境総会(UNEA)で、汚染のテーマの一つとして取り上げられます。

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(UNEP Stories 8月1日より要約 http://www.unep.org/stories/