私たちの地球のためのブルー・ソリューション

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海を思い浮かべる時、頭に浮かぶのは、ターコイズに輝く海面に縁どられた黄金のビーチにサンゴ礁かもしれない。

もしくは、尾びれで海面をたたいて深く潜ろうとするクジラや、好物のシーフードかもしれない。何が思い浮かぶにせよ、海が生み出すものであれば、それは海の健康にかかっているのである。

健全な海洋と沿岸生態系は生産性が高く、数多くの価値ある製品やサービスを提供してくれる。その生態系サービスは、食物、薬、気候規制や海岸保全から、娯楽や精神的な恩恵といった文化的なサービスにまで及ぶ。

その高い重要性にもかかわらず、海洋生態系と沿岸生態系は、数多くの人為的な脅威に直面している。

生息地の損失や劣化、乱獲、汚染はすべて世界の海洋の健全性を損なってきた。そのうえに、気候変動による影響が組み合わさっているのである。

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もし人類が海洋から恩恵を受け続けたいのであれば、海洋・沿岸生物多様性の保全と持続可能な利用のバランスを保ち、その生態系サービスを維持することが不可欠である。

特に、地域のコミュニティや資源利用者と協議したうえで、より幅広く統合された計画システムの一部として開発された海洋保護区は、その解決策の一部なのである。

「ブルー・ソリューション」は、国連環境計画(UNEP)、国際自然保護連合(IUCN)、ドイツ国際協力公社(GIZ)やその他の団体によるパートナーシップで、ドイツ政府の支援を受け、世界の海洋管理のための知識を共有するグローバルなプラットフォームを提供している。

このイニシアティブはブルー・ソリューション、すなわち海洋・沿岸管理に関する教訓やベストプラクティス、生物多様性と人間の安寧を維持する健全な生態系に向けた行動を促す革新的な考え方や現実的なアプローチをまとめている。

実用的なツールの開発と試験的実施、そして地域の管理プロセスにおける沿岸と海洋の空間計画に関する助言は、プロジェクトの重要なアプローチである。

ピアツーピア学習やオンラインでの知識共有を通じ、部門を超えた計画立案から実際の経験を集めて共有することは、総合的な政策立案や効果的なガバナンスの整備を促進するだろう。

「Planning of Mammal Corridors and Protected Areas in the Wider Caribbean and the SouthEast and North-East Pacific=広域カリブ海と南東・北東太平洋における哺乳類の回廊と保護区計画」は、UNEPとパートナーの支援のもと、他の地域に貴重な教訓を提供している。

4つの主要な目的とは、i)海洋哺乳類の保護区のネットワーク強化、ii)絶滅危惧種の保全、iii)エコツーリズムからの収入の創出、 iv)国家間および国内での海洋管理の改善である。

このプロジェクトは、海洋保護区の根拠を強固なものにし、人間の需要に取り組み、環境を保全するという、ブルー・ソリューションの目的を具体化したものだ。

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海洋保護区のブルー・ソリューションには、さらなる例がある。

ソロモン諸島では、地域ごとに管理されている海域の州全体に及ぶネットワークを構築し、マダガスカルでは、気候変 動を管理計画に組み込み、海洋保護区における生態系と社会の回復力を強化している。

また、世界最良の海洋保全法の一つとされている、フィリピンの「トゥバタハ岩礁自然公園法」の制定に繋がった、村から国家まであらゆるレベルの政府を巻き込んだ協議プロセスなどが挙げられる。

ブルー・ソリューションのイニシアティブは、地域での会合も推進していて、海洋の開発・保全に関する専門家が効果的なアプローチを作り上げる“ブロック”について議論する場となっている。

フィリピンのセブで開かれた先日の会合では、アジア太平洋地域からの参加者が、タイで開発されたコミュニティごとのマングローブ林回復の取り組みがフィジーでも有効であるか、またどのような条件で実施すべきかについて議論し合った。

ブルー・ソリューションは、海洋保護区の実践者、計画立案者や意思決定者の能力開発にも用いられており、彼らが証明済みの成功から学び、それらを自分の状況に置き換えられるようにする。

近年では、海洋保護区のガバナンスに関する研修会がインドネシアで150人ほどの参加者に向けて開かれ、2020年までに2,000万ヘクタールの海洋保護区を達成するというインドネシアの意欲的な目標を支持した。

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ソロモン諸島、ベトナム、カンボジア、合衆国から参加した講演者は、各々の“ソリューション”、すなわちこれらの国々でどのように海洋保護区のグッドガバナンスが達成されたかという詳しい例を共有し、インドネシアの参加者のロードマップと突き合わせていった。

バリの沿岸近くにあるヌサペニダ海洋保護区は重要なケーススタディと現地調査の場であり、すべてに恩恵をもたらす素晴らしい効果的 なガバナンス組織の実例となっている。

これらの特定の教訓は、IUCNの「保護区のガバナンスに関するガイドライン」やピーター・ジョーンズ教授(ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ)とUNEPが開発した「海洋保護区ガバナンスの枠組み」といった理論的枠組みと合わせて採用されている。

ブルー・ソリューションを通じて、IUCNとUNEPはインドネシアの海洋保護区の開発と、個々の現場での計画立案プロセスを伴う行動を支援し続けており、確実にガバナンスの質が正当に考慮されるよう支援していくのである。

ブルー・ソリューションの事例研究については、国の訓練カリキュラムに盛り込むことが検討されようとしている。

事例に基づいた訓練アプローチの経験は、国の海洋保護区ネットワーク構築へのインドネシアの取り組みと共に、特に地元の政府管理地区の拡大を通じて、オーストラリアのシドニーで2014 年に開かれる世界国立公園会議で世界中の人々に共有される。

この会議は、世界中の保護区をより良く管理するための、地上と海上での刺激的な解決策の紹介に重点を置いている。

 

 

Our Planet 2015 Vol.1(通巻38号)