好都合な真実

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バラット・ジャグデオ
(BHARRAT JAGDEO)
ガイアナ共和国大統領

気候変動を克服することは不可能ではありません。この地球上で何百万年という時間をかけて発展を遂げてきた自然体系がその解決策を提供してくれていることは、好都合な真実です。しかし、これを活用するために、我々はまず排出量削減のためのコストを実利的にとらえ、世界の資源についてもっと現実的に考え、利用しなければなりません。

我々が示さなければならない実用主義とは、世界全体の産業からの排出量を劇的に削減し、それに伴う短期の経済的な痛手を受け入れるしかないと認めることです。もしこれができなければ、我々は世界の荒廃と何百万という人々の計り知れない苦難への責任を負うことになるでしょう。

しかし同時に、現実的になり、大気中の二酸化炭素を除去・貯留するために地球が与えてくれた資源やメカニズム――すなわち、海洋や森林、その他の生態系――を保護するための対策も講じなければなりません。ガイアナは、この国が有する森林――国土の4分の3にも及ぶ――によって、この解決策に貢献しています。

仮に我々が森林を伐採し、農業やその他の商業活動を行う土地に転換することを積極的に選択すれば、年間何億ドルもの利益を上げることが可能です――そして、その過程で気候変動を助長し、ひいては世界経済に損害を与えるでしょう。

わが国が気候変動に取り組まなければならないことは明らかです。この国の経済成長は、世界の気候変動への取り組みを促進する能力と本質的に結びついています。我々は毎年、洪水によって国内総生産(GDP)のおよそ10%の損失を被っており、これを解決するには最高10億ドルの適応基金が必要でしょう。

1年半前、私はガイアナの「低炭素開発戦略」を発表しました。その根底にあるのは、わが国や他の開発途上国が森林を守り続ければ、さらなる価値を世界に提供できるという信念、また――もし世界がこの貢献に対して快く出資するのであれば――生み出された収入によって、ガイアナの気候変動への適応と、一連の低炭素投資による経済変革をどちらも促進することができるという信念です。

この戦略を発表してから、世界はわが国の国土以上の面積の森林を失ってきました。これにより、地球上のすべての原動機付車両が同じ時期に排出した量よりも多くの炭素が大気に放出されただけでなく、大気中から炭素を除去する地球の能力をも減退させました。

歯止めの利かない森林の損失は、悪意や無知から起こったものではなく、世界の森林保有国の多くが森林伐採以外に収入を得る手段を持っていないことによるものです。この解決策は一つしかありません――我々は、森林保護を森林伐採よりも経済的に賢明なものにしなければなりません。

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コペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の会議は、気候変動が克服不可能なものではないことを証明する歴史的な機会です。森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減(REDD)提案が採択されれば、単なる炭素排出量の削減よりもはるかに大きな恩恵をもたらすでしょう――すなわち、淡水の水源を確保し、食糧確保を守り、ガイアナのような国に経済発 展の機会を与えてくれます。

会議参加者がこのビジョンを持っていて、REDDへの十分な資金提供および産業からの排出量の大幅削減に合意すれば、我々は未来の世代に対し、自分たちはこの星の価値ある乗組員だったのだと伝えることができるでしょう。

Our Planet 2010 Vol.1(日本語版通巻18号)