カリフォルニア州知事 アーノルド・シュワルツネッガー
どうすれば環境保護と経済成長とを両立させながら推進できるか説明する。
国連世界環境デーは、国際的な環境カレンダーの中で最も重要なイベントのうちのひとつです。
カリフォルニア州とサンフランシスコ市は、アメリカ合衆国で初のホストになれたことを光栄に思います。
自然環境は、カリフォルニア州の歴史をみても大変重要なものです。
州の驚くほど美しい景観は、その多様な自然と資源のおかげです。
私は、カリフォルニア州の環境を保護し、われわれの貴重な土地、空気と水を守るために、真のリーダーシップを発揮することを強く誓います。
ここカリフォルニア州では、環境を保護するか、仕事と経済成長を選ぶか、二者択一しかないのだという考え方は捨ててきました。
われわれは、もし海岸が石油流出によって汚染されれば、観光客はそんなところには来なくなることを知っています。
そして無責任に森林を伐採すれば、河底の地盤は破壊され、魚が採れなくなります。
しかし、カリフォルニア州だけが環境保護に立ち向かうというのではありません。
後世のためによりよい地球を残そうとするならば、地球規模で経済と環境を両立させることに努力し、実現しなければならないのです。
国連世界環境デーは、これらの重要課題に人々の注目を集めるきっかけとなるでしょう。
さらに、サンフランシスコでイベントが開かれることにも意味があります。
国際連合は、60年前にこの湾沿いの町でうぶ声をあげました。
1945年、サンフランシスコにおいて、国際協力と集団安全保障を通じて平和維持を誓う51カ国の代表が集い、国連憲章会議が開かれて国際連合が創設されました。
今日、世界のほとんどすべての国は国連に加盟しています。
どの加盟国も国際協力のもと、平和維持のために努力し、国と国との信頼関係を深め、国際的な問題の解決と人権尊重に努めています。
ジャレド・ブルメンフェルド持続可能な都市をめざし、他に先駆けて導入された協定について説明する。
まもなく史上初めて、地球の人口の半分以上が都市で暮らすことになります。
2025年までには、人類の60%は都市部で生活し、そして毎週100万人を超える人々が、たえまなく大挙して都市部へ移動し、流入するのです。
そしてこの新しい地球都市には、すでに人類共通の環境問題という難問と、それを解決するチャンスとが発生しています。
今や各都市の市長は、都市の中心部を真に持続可能な形に開発できるかどうかで、明日の地球の運命の鍵を握っているといえるのです。
サンフランシスコで開催される2005年の世界環境デーから受け継がれていく今後の中心課題は、「都市環境協定」になるでしょう。
市長やNGO、大学や国連機関によって立案されたこの協定は、どの都市も関わることができる21項目の活動計画に焦点をあてたものです。
またこの協定は、1945年に同じくサンフランシスコで採択された「国連憲章」の60周年記念に合わせて調印する予定になっています。
この協定は一連の環境活動から構成され、少なくとも一都市で実行されてきています。
これは大都市の市長たちが、エネルギー供給、きれいな水、リサイクル活動、公共の交通機関・公園・都市計画などに関する多くの、そして共通の責任を負っているという事実を考慮して作られているのです。
わずか2ページに記載された協定項目は、すべて明確で達成できるものばかりです。
● 今後7年以内に、再生可能エネルギーの利用率を、その都市のピーク時の使用エネルギーの10パーセントに増やす方針を採択し、また実行すること。
●ゴミ処理の新たな方法を提供するために、人にやさしいリサイクルとコンポスト(生ゴミを分解して堆肥土にする)計画を実施して、埋め立てと焼却にまわされる固形廃棄物の1人あたりの量を、今後7年で20%減らすこと。
● 新しく建設されるすべての地方自治体の建物に、建築物環境配慮評価システムの適用を義務づける方針を採択すること。
この協定の実行項目は幅広く選ばれており、そのことが責任を保ちつつ、柔軟性を与えるものとなっています。
この協定に合意すると、市長は実行へと一歩を踏み出します。
それは、まず条例を可決し、次いで目標達成に向けてその経過をモニターすることです。
世界環境デーのように、この協定でも、国連が環境問題やその他の世界規模の問題の解決を手助けすることで、国連の重要性が認識されていくでしょう。
またこれにより、国家間よりもむしろ都市間でひとつの枠組みを築くという、新しい国際協力の形が示されています。
現在、記録にあるだけでも400を超える国際的な条約・協議事項・協約が存在していますが、こうした国際的な政治的取り決めと、それが肝心の都市でどう実行されるかということについては、その間にしばしばギャップがあります。
この協定に調印すると、各市長はきわめて重要な環境問題を優先的に取り扱うという義務を負います。
そしてこの市長たちが公約の実行責任を果たせるよう、調印した都市の市民もまた、責任を負うというわけです。
この協定自体が、共通の課題に対して常識的な解決方法を提供しつつ、私たち一人一人が持続可能な未来への道を一歩ずつ進むための敷石を埋め込んでいくような、活気に満ちたダイナミックなプロセスでもあるのです。
サンフランシスコ市長 ギャビン・ニューソム(Gavin Newsom)世界環境デーに世界から集う参加代表者たちを歓迎する。
サンフランシスコ市は、2005年世界環境デーのホストであることを光栄に思います。
われわれは、サンフランシスコ及び世界中において、環境面で満足な状態をめざし、その方針が後世に受け継がれるよう、UNEPとともに努力していくことを嬉しく思います。
緑の都市
2005年の世界環境デーのテーマは、「緑の都市」です。
特に21世紀になって初めて、世界で都市部の人口が過半数をしめるようになるのですから、これはまことにふさわしいテーマと言えます。
もし地球のためにも次の世代を担うわれわれ人間のためにも、持続可能な生活様式を創出しようとするならば、都会の住民が増加するにつれ、環境面・経済面・社会正義追及面などからのさまざまなニーズのバランスをとることが、ますます肝要になってきます。
農村地帯から都市部への人口移動は、地球の資源に多大な影響を及ぼします。
また、その結果、市政の面でも著しい変化が起き、市当局が重要な環境問題の解決に直接責任を持つようになるでしょう。
環境の公平さ
世界のあらゆる都市部は、その何倍もの面積を有する農村地域に、食料や飲料水の供給を依存しています。
消費財をつくるための資源についても、言うまでもありません。
しかし今までのところ、これらの環境問題を解決するために市が必要とする物や手段の開発には、ほとんど配慮がなされていませんでした。
環境についての合意
世界環境デー2005は、都市環境問題(たとえばリサイクル、再生可能エネルギー、資源の保護、環境への妥当性や公衆衛生)に焦点をあてて、一連のスペシャルイベントを呼び物にしています。
世界最大級の都市の市長たちは、アイデアや経験を交換しあって、都市の環境改善のための目標を定め、これらの目標を達成するための手段を明らかにすることでしょう。
これはすべて、サンフランシスコ都市環境協定(自治体間で結ばれた環境についての初めての同意書)と呼ばれる公文書として編集されます。
これらの協定の助けで、われわれはみな地球規模で考えながらも、実際の行動では、足元の地域での活動に携わっていくことができるのです。
Jared Blumenfeld :サンフランシスコ環境局の局長
出典:Our Planet 2005.Vol.1