「こどもエコクラブ」の環境への取り組み

日本では、子どもたちが地域の中で楽しみながら自主的な環境活動・環境学習を行う「こどもエコクラブ」の活動が全国各地で展開されています。

環境活動をしている子どもたちを地方自治体、企業・団体など地域社会が一丸となってサポートしています。

こどもエコクラブとは?

こどもエコクラブは、次世代を担う子どもたちが人と環境との関わりについての体験を積み重ねながら、環境を大切にする心を養うとともに、将来の地域の環境活動をリードする人材を育成することを目的としています。

環境省の支援や地方自治体や企業・団体との連携を図りながら、これまでに日本全国で185万人以上の子どもたちが登録し、地域の大人とともに主体的な環境活動を行ってきました。

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子どもたちが主役となって自身が興味のある活動を地域の中で行うことで、活動が継続・発展し、地域を巻き込んだ環境活動となって日本各地で広がっています。

地産地消で地域を元気に!

小・中・高校生の仲間で集まって、地球環境について真剣に考えて活動しています。

地元でとれた食材を自分たちで調理して食べることでエネルギー削減や地元の農業のことなどを考えよう!という企画を立て、レシピの考案・食材集め・調理・試食するイベント「エコ☆スタLet’s地産地show cooking」を、昨年から実施しています。

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実施にあたっては、地産地消のメリットや現状の課題を勉強するとともに、イベント全体の内容、手順、流れの企画はもちろん、参加者を募るポスターの制作や掲示まで自分たちで行いました。

また、食材に関わっている方々の情報も伝えたいと考え、事前に地域の梨園農家の方にインタビューして収穫までの大変さについての発表準備も行いました。

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イベント当日は、地元の小学生や大人だけでなく他の地域のこどもエコクラブの参加もあり、皆はますますやる気満々に!一生懸命米粉をこねてくれた小学生、日頃の料理の腕をいかんなく発揮してくれた大人の方など、皆さんそれぞれに熱心に取り組んでくれました。

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農家の方のご苦労をまとめた発表もしっかりと聞いてもらえて、多くの方に地産地消についてじっくり考えていただくことができました。

このイベントを通して、自分たちも地元の食材の豊富さや新鮮な野菜の美味しさを再発見!イベント後も今回のレシピを農業イ ベント等でたくさんの人に配布し、地産地消の大切さをアピールしています。

これからも地域の方々と連携しながら、活動を盛り上げていきたいと思います。

ヒマワリを育てながら植物の生命力を実感!

自然や植物や食べ物のことなどを、園芸を通して考えているクラブです。メンバーは幼児とそのお母さんたち。無理のないペースで花やハーブを育てています。

4月にはヒマワリの種植え、7月にはメンバーとヒマワリの背比べ、8月には来年のためのヒマワリの種を拾うなど恒例となっている活動のほか、春はペチュニア、秋はビオラやチューリップの球根を植えつけたり、押し花やどんぐり工作をしたりして楽しく植物に親しんでいます。

ヒマワリを育てる活動では、自分たちのまいた種から芽が出て、自分たちの背よりも大きくなり、花が咲いた後に来年の種ができるというサイクルを体感でき、植物の生命力に感動しています。

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また、秋に集めた桜の葉を使った草木染めにもチャレンジ!葉っぱを水で漬けこんだ染液で桜餅のようないい香りが部屋を包みこみ、「いいにおい!」とメンバーから歓声が上がりました。

各々に輪ゴムで縛ったり割り箸で挟んでみたりして、どんな模様が出来上がるのかをみんなで待つのも楽しい時間です。布地によってもいろんな色合いとなり、大満足の活動となりました。

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こういった活動をするうちに、散歩の途中で咲いている草花にも目がいくようになった子どもの姿や、暑い夏の日に自ら進んで『のどの渇いている植物』に気持ちを込めて水をあげる子どもの姿を目にするようになり、一緒に活動している大人も大いに刺激を受けています。

里山での活動で自然のつながりを実感!

地域の谷津田をフィールドに、無農薬での稲作、生き物観察、里山の保全などをしています。

主な活動の一つに田んぼでの代掻きや苗づくり、田植えや稲刈り、脱穀までの一連の稲作活動があり、メンバーみんなで泥んこになりながら元気に作業をしています。

田んぼの土を掘り起こして活性化する「天地返し」は、特にメンバーのお気に入り!服が汚れてもなんのそのです。

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田んぼの肥料は里山の中で集めた落ち葉を堆肥化したものを使うのですが、堆肥の中にいろんな虫の幼虫がいる理由や、腐葉土を作るのにミミズが担っている重要な役割を学び、豊かな自然と生物多様性の大切さを感じる機会にもなっています。

この里山の自然を守るために、落ち葉を集める際には人工的なものにひっかかって堆積した落葉や、川に流されてしまう落葉のみを集めるなど、里山の生態系を崩さないよう気をつけています。

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また、複数年にわたって季節ごとの生物観察会を実施し、季節や年度による生き物の種類・数の違いを調査しています。

川での調査では、重機などで人工的に整備されている場所の周辺ではその前年より水生生物の種類が大きく減っていることがわかり、生き物にとって周辺の環境の差が大きく影響することを実感しました。

自然の中の活動を通して、森も里山も川も海もつながっていることがわかってきました。こどもエコクラブの活動を続けて、自分たちの町の豊かな自然を自分たちの手で守っていきます。
 

TUNZA日本語版 2013 Vol.1(通巻31号)